2012年9月7日金曜日

幻惑の死と使途 ILLUSION ACTS LIKE MAGIC

こんにちは、なんちゃって文化人です♪


【送料無料】幻惑の死と使途 [ 森博嗣 ]

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森博嗣さん著のS&Mシリーズ後半戦第一作。
今回はマジック(不思議)を題材にした物語。

最後のあとがきを書かれていたのが引田天功さん(Wikipedia)でした。
イリュージョニストとして、海外でも人気の高い方ですが、あの方2代目だったんですね。
知らなかったです。
冒頭で、
「マジック」に一番ふさわしい言葉は「死」だと思うのです。
と、書かれていたのが非常に印象的でした。
そのマジック、そして、音と証明、出演者、衣装、プロップス、背景を総じて演出するものが
イリュージョンなのだそうですが、並大抵の努力と覚悟ではないと感じることができました。

そして、作中の登場人物もそれ相応の覚悟を持った人だったのでしょう。
こだわりを随所に感じる場面が多かったです。
きっとマジック好きの人が読むと面白い作品だと思います。
題名の「幻惑の死と使途」、今回の作品の内容もそのまま、です。

作中にもありましたが、身の回りは不思議なことに満ち溢れています。
よくシリーズに出てきますが、自然は自然といった瞬間に自然ではないということは、
すごくよくわかる気がします。
が、それは置いておいても、自分が生活するに当たり、
それらを鵜呑みにしないと生きていけません。
全てを理解するには時間が足りませんし、複雑すぎます。
作中の主人公格は、このような複雑な思考をよく繰り返します。
きっと、自分にはできないこの思考に触れることができるのがなんちゃって文化人にとって
魅力的なのではないかと思います。

さて、今回もなんちゃって文化人的名言を紹介します。

・「人間の狂気」あるいは「経済的な妥協」という不等号で切り取る
 という手法以外によって作られた人工物は、未だかつてない
 
 すごいですね、作者の表現ですが、ほんとそのとおりだと思います。
 「妥協」として、さらに不等号なところが人間らしい曖昧さを表現していると思いました。

・偏った価値観から自分を守りたかったら、自分の目と耳を頼りにすること
 
 これは、いろんなところで別の表現で書かれていますが、
 マスコミにしても、文献にしても、他人の価値観を刷り込まれてますからね。
 以前に同シリーズであった、「定義とは自分でするもの」という言葉は今でも残っています。
 やりすぎると自分勝手、自己中と言われそうですが、
 人生一回きりですし、自分の思ったとおり生きるのがいいですよね。

そういえば、一個、拾われていない複線がありましたが、それは次の作品なのかな?